「伊能忠敬と日本図」展

大徳寺聚光院の襖絵」展の反対側で伊能忠敬が表した歴史的大作をみることができた。
 
伊能忠敬は、日本列島の沿岸をくまなく歩き、一つずつ測量していった。そして、その測量結果は現在とほぼ変わらないとされる。現在のように空からみることもできず、コンピュータを使うこともできない。そのような環境でほぼ正確無比な結果を出すことは、大変な苦労があったと思う。幕末シーボルトが日本地図を持ち出そうとして、捕らえられた事件があったが、その持ち出そうとした地図は伊能忠敬によるものであった。正確な日本地図があれば、沿岸線を知ることができ、どこが弱点となるか、を把握できるからだ。
 
地図には、経線・緯線が引かれ、地名も付されている。離島を測量する際は、各沿岸地点から線が引かれ、その交点によって全景が描かれている。いずれも高度な数学知識が必要とされ、伊能忠敬だけでなく、そのスタッフの優秀さもわかる。
 
伊能忠敬の生涯は小説にもなっている。たとえば、井上ひさし『四千万歩の男』(講談社文庫)がある。大著なので心して読まれたし。