出光美術館にゆく

昨日、久々に美術館に行った。今年はなにかと忙しく、土日は混むからと回避してきたら、前回いつ行ったのか記憶があいまいなくらい間が空いてしまった。
 
今回の目的は酒井抱一である。毎年楽しみにしている作品の一つだ。出光の酒井抱一根津美術館尾形光琳三井文庫の丸山応挙。今年は尾形光琳の燕子花図屏風は改修で展示されなかったので残念だった。出光は私の好きなものが多く、しばし展覧会のチェックを入れる美術館である。なかでも秀逸なのは酒井抱一長谷川等伯である。長谷川等伯は以前書いたからそれを参照されたし(第58回)。今回見たのは「十二ヶ月花鳥図貼付屏風」である。題材は題名のとおりで、季節に合わせて描き分けている。鳥たちの表情豊かで、ひじょうになごむ。構図がすばらしいので、花と鳥が互いに主張しつつも調和がとれている。何度見ても飽きない。一緒に行ったひとも満足げだったので連れて行ったかいがあった。
 
ただ、この展示の前に「八ツ橋図屏風」を見そびれたのは無念としかいいようがない。これは、尾形光琳の「燕子花図屏風」の系統をひく作品である。光琳が画面いっぱいに燕子花を描くなら、抱一は画面の真ん中を横切るように橋を架けてアクセントをつける。同じ燕子花をメインにおいて橋を描いてもその橋がじゃまにならない。花鳥図でもそうであったが、二つの強烈な個をもつものを互いに干渉せずに調和させる。このバランス感覚が彼の特徴であろう。
 
こう書いているうちに、今年光琳と抱一の燕子花が見れなかったことが残念でならなくなってきた。来年は二つとも見れると思うので、忘れずに見に行こうと思う。