日本対フランス 観戦記

正直なところ、負けた気がしない。予想していたよりも試合をコントロールする場面が見られたし、全体的なバランスも悪くなかった。フランスのメンバーも一枚落としていたから、それほど脅威を受けることもなかった。
 
だが、ボールを支配する時間が長くても、どれだけパスがつなげても、最後の最後でミスをしたり、決定機を外す、といったことが勝負の分かれ目になる。審判の判定に疑問があったとしても、ホームよりのジャッジをしようとも、それを乗り越えてこそ、勝負強さを身につけることができる。ゲームの中で流れを得ても、最後の最後で運をつかみきれなかったことが敗因であろう。逆にフランスは自らの流れを引き寄せたときにゴールを挙げた。運を引き寄せることができるのも厳しい試合を通じてそれが世代を超えて脈々と受け継がれる伝統があってこそかもしれない。格上から勝利をもぎとるためには、やはり、精神的にも、肉体的にも厳しい状況を経験することが必要なのだろう。勝負の厳しさを知るジーコがアウェーでの経験を重視するのも頷けるところだろう。
 
メンバーを固定し、3試合こなし、徐々にチームの完成度はあがりつつある。ディフェンスのイメージも、攻撃のイメージも選手間で共有化しはじめ、以前よりもはるかに勝機を感じるようになってきた。今回、フランスという強国相手にほぼ互角のゲームができた(ジダンはいないが)ことは選手に一層の自信を植えつけるに違いない。その自信は、フランス相手に日本の攻撃を幾度となくあびせることができたことからくるものだろう。
 
自ら考え、それを選手間で議論し、共有化する、という過程を経験させているジーコの意図がようやくチームに浸透し始めている。ジーコが就任してからまもなく1年が経とうとしている。1年という期間をかけなければ監督の意図が浸透しないというはがゆさはジーコ自身が感じるところであろう。ただ、1年を振り返ったときに日本代表は大いなる成長を遂げてきているように私自身、感じはじめている。ジーコの意図を最初に汲みとった中田英が真の意味でキャプテンシーを発揮し、チームの成長を促していることも間違いないことだろう。コンフェデレーションズカップという舞台で、世界の強国と戦うことで、少しずつ成長を遂げている。より一層の経験を積むためにも、次のコロンビア戦には勝たなければならない。