アテネオリンピック アジア最終予選(3)

バーレーン戦での苦戦は、レバノン戦のゴールを奪うまで流れを変えることができなかった。ワールドユースで経験したUAEとはいえど、その経験者のうち、ピッチに立ったのは徳永と平山でしかない。UAEは想像以上に気温が上がらず、湿度も高かったようだ。
レバノン戦で達也の決めたゴールは、すべてを変えたといっても過言ではあるまい。バーレーン戦から120分ゴールを奪えず、耐えるだけの時間が過ぎた。やはり、ゴールがチームを活気づかせ、守備の安定をもたらす。自分がフットサルをしているときもそうだが、ゴールはすべてを変えてくれる魔法のようなものだ。長いことゴールが決まらないとチームの雰囲気も下降気味になるし、精彩を欠くことも多い。レバノン戦のゴールはいままで溜まっていたものをすべて解消し、上昇気流を生んだ。
UAE戦は予想どおり沈黙の時間から始まった。UAEはすでに日本と勝ち点2差あり、日本ラウンドも鑑みれば、無理することもない。できれば勝ちたい、といったところだろう。日本は負けられない、負けてはならない試合となった。そうした局面を打開したのは達也だった。無論、達也だけの功績ではない。昨年ゴールハンターへと変貌した達也のゴールへの執念、ゴールが見えたらシュートを放つことがもたらしたものだ。
今回のUAEラウンドでは、楽観することができなかった。アウェーの中東ではいくつも苦汁をなめさせられてきた。U-23イラン代表、ロシアA代表U-23韓国代表、と親善試合で結果を残してきた。それでもなお、不安はあった。
そうした不安や苦手意識を、U-23日本代表は経験し、克服した。1月からのキャンプでチームの成熟度はアップし、個々が有機的に結びつき、競争が選手層を厚くした。選手だれもがチームのために戦うことができ、すばらしいチームへと成長した。だれがすばらしいとかではなく、選手それぞれが十分に成長した姿をみせてくれた。UAEラウンドがすべてではなく、日本ラウンドこそ本番だ。先日破ったUAEだけでなく、バーレーンにもまだまだ数字上はチャンスがある。3月18日まで気を抜けない日々が続く。しかしながら、UAEで厳しい経験をつんだ選手たちが日本ラウンドでさらに成長した姿を見せてくれるだろう。