「韓国の名宝」展

この展覧会は、ワールドカップにちなんだものである。韓国の国宝級がずらりと勢ぞろいしていた。ということは、ワールドカップを見に韓国へ向かった人たちが、韓国の美術館や博物館に行っても、目玉の品がない、ということになる。韓国では、日本の美術品などを展示する、これと似たような企画はあったのだろうか。
 
韓国の名宝といわれても、何を想像していいのかわからなかった。思い浮かぶとすれば、青磁だろう。ただ、見た限りでは、それほどいいと思われるものはなかった。国内にある青磁の方が、形、色など素晴らしいものが多い気がする。そうであるなら、韓国にもともとあった良品を日本に持ってきてしまった、あるいは、買ってきてしまったということになる。まあ、美術品の流出はよくあることで、浮世絵などの逸品がヨーロッパで所有されていることもある。見方を変えると、内からの目よりも、外からの目の方が価値を見出すこともある、ということだろう。内にいれば、外との比較ができないので、その価値がわからないということだろう。
 
宝飾品には逸品が多かった。金細工の精巧さは素晴らしい。ただ、勾玉の加工は日本の方が素晴らしい気がした。
 
絵画、特に山水画となると、日本の方が上回っている感じだ。中国の景色を描いているのもあるが、雪舟や大観には及ばない。何か、こう、描き手のレベルが違う。そんな気がした。
 
家具、調度品なども展示されていた。見ているときは、展示する必要があるのか、という疑問もあったが、振り返れば、韓国の様子がわかる例であるので、それなりに興味深いものだったのだろう。
 
百済新羅高句麗三国時代のものは、見た目も技術も素晴らしいものが多い。だが、時代を経るにしたがい、質素なつくりになってくる。中国、あるいは、儒教の影響もあるのだろうか。