秋の展望:4歳クラシック路線

4歳最後のクラシックは菊花賞である。4歳の場合、ある程度の勢力図は春の段階で決まるが、菊花賞の楽しみは夏の上がり馬が出てくるところである。この夏の上がり馬によって春の勢力図というものが大きく変わってくるのである。近いところではマヤノトップガンがそうである。この馬はまさに夏の上がり馬の典型で、夏開催で条件馬をクリアし、秋の神戸新聞杯京都新聞杯の2着と重賞で連続連対し、ついには菊花賞に優勝し、有馬記念まで制覇したのである。このような例は4歳に限ったことではなく、古馬にも当てはまるが、これについては後で述べることとする。今年の4歳は春の勢力のほうが上回っていると思う。ダービーを優勝したスペシャルウィークの力は4歳の中では抜きん出ているように思われる。秋は京都大賞典京都新聞杯から始動するようである。この馬に対抗するのが皐月賞を優勝したセイウンスカイ皐月賞2着の良血馬キングヘイローが筆頭に上げられる。しかしながら、これらの馬でさえ、スペシャルウィークに及ばないと思う。ダービーで14着に敗れたキングヘイローは鞍乗に岡部騎手を据え、秋の巻き返しを狙う。福永騎手から岡部騎手に乗り替わったことはこの馬にとって大きなプラス材料である。また、ダービー2着のボールドエンペラーも侮り難い。3歳のころから重賞で活躍してきているが、われわれにとって印象が薄いのは成績の不安定さがあるからだと思う。父はキンググローリアスと短距離に得意な馬が産駒に多いが、得意の京都でどのようなレースができるか楽しみである。
夏の上がり馬として上げられるのがビワタケヒデである。この馬は3冠馬ナリタブライアンの全弟である。春はツメが甘く、クラシックには出走できなかったが、ラジオたんぱ賞に優勝し、小倉記念古馬相手に3着と徐々にその能力を開花しつつあり、秋の活躍が見込める馬である。この秋は京都大賞典から始動するようである。
夏の上がり馬で活躍が見込めるのが4歳春を慎重に育てられた馬である。春の段階で馬の状況をしっかりと把握され、春から夏にかけて馬の成長に合わせて育成された馬は秋にその能力を開花するようである。しかし、一線級が出走しない夏場の競馬はどうしてもレベルが落ちてしまうのはいたしかたないようである。さらに、夏場の競馬場はローカル開催であり、平坦な馬場が多く、中央場所の馬場は起伏が激しく、その点でも厳しい環境にあり、なかなか夏に活躍しても厳しいようである。そこには夏場の成長というものが大きくかかわっているようである。
それではまとめに入ろう。菊花賞の本命はやはりダービー馬スペシャルウィークである。この馬の瞬発力、そして、競馬センス、鞍乗の腕が他を圧倒するだろう。相手は横一線であり、トライアルやその他のステップレースのデキにかかっている。キングヘイローの復活に期待したい。