アテネオリンピック アジア最終予選(3)

日本ラウンド、バーレーン戦について述べよう。
UAEとレバノンが引き分けに終わったのをうけての試合。
最低でも引き分けて終わるべき試合でもあった。
それがバーレーンに数少ないチャンスをものにされて黒星を喫した。

伝統的な中東のサッカーにしてやられた感が強い。
守備ラインを低めに設定し、スペースを与えず、日本のスピードを殺す。
思いどおりの展開にもちこみ、思いどおりの結果を得たバーレーン
敵ながら天晴れだ。
という以外にいいようがない。
UAEラウンドの経験を生かしたのもバーレーン
日本を徹底的に分析し、いかに勝つサッカーをするのか、を生み出していた。

ひるがえって、日本。
冬の日本から高温乾燥地帯の中東、中東から冬の日本、と寒暖の差の激しい移動を短期間に行い、さらに中東では体調を崩す選手が続出、というコンディションを維持するのが難しい状況に追い込まれた。
そうした状況が分かっていて、その対処に万全を期したとはいえ、実際に体験してみなければ分からない部分が多いだろう。
体調を崩して戦線離脱した選手が昨年のワールドユース組だったことは皮肉な結果だ。
そして、選手の疲労がピークに達しているのも判明した。
闘莉王の肉離れが代表例だ。
UAEでゴールを演出してきた達也の動きも悪かった。
悪いときの達也が出てしまった。
レッズの時、悪いときの達也は、あまりまわりを見ずにドリブル突破を強行していた。
前線の2トップが最悪の場合センターサークル付近まで下がってきて、スピーディな攻撃もできなかった。
ボールが来ないから下がるのではなく、我慢してトップに張りつづける勇気も時には必要だろう。
下がってしまうから、全体の押し上げが遅くなり、FWは本当の意味で無駄な体力を使ってしまった。
こういう状況もバーレーンの術中にはまっていた。

この試合は内容も、結果も最悪の事態を迎えてしまった。
しかし、である。
まだ勝ち点で並んだに過ぎない。
自力で予選突破できる位置にいる。
しかも、過ごしなれた日本にいる。
まだまだ日本は他国よりも優位にたっている。
UAEに引き分けたとはいえ、4点差で勝利したレバノンである。
おそらくメンバーの入れ替えもあるだろう。
フレッシュな選手で勝利をもぎとり、アテネへの扉を開いてほしい。