レッズ対フェイエノールト 観戦記

ちょっと遅くなってしまったが、注目すべき試合であったから、少し記すことにする。
 
この試合のポイントはいくつかあったように思う。
1.小野伸二の凱旋試合
2.レッズの選手が世界レベルを肌で感じることができる
3.コーチ陣にとって因縁めいた試合であった
 
試合の流れや雰囲気(会場含む)は第一の点が大きかったように思う。通常の応援とは異なり、静寂が会場を埋めていた。伸二の成長度合いを見極めようとする雰囲気すらあった。2年ぶりに見る伸二のプレーに見入る観衆。直前にケガをしたという情報もあり、出場時間にも限りがあることが想定できた。またファンフォーイドンクを筆頭とする代表クラス不在も関係があっただろう。それゆえ、見る側には、真剣さとリーグ戦とは一歩離れたほのぼ感という相反する雰囲気が会場をつつみこんだ気がする。
 
第二の点は、試合の流れと大いに関係するだろう。前半はフェイエノールトのペース。レギュラークラスがほとんど不在でもチームが意図するプレーをサブメンバーでもこなせてしまうチームの完成度が明暗を分けた。ピッチをワイドにしかもショート、ロングパスをくりだすスピード感あふれる展開にレッズは翻弄された。レッズは、どこか遠慮がちにプレーしていたような気がする。後半はうってかわって前からプレスをかけるようになり、また、フェイエノールトの攻撃に慣れておちつきを取り戻した。山田に代わって平川が右に入り、本来のポジションでプレーできるようになると、攻撃の起点として精度の高いクロスを放った。それが達也のゴールにつながる。この1点で完全にレッズは息をふきかえし、エメの持ち味を十分に発揮したゴールで追いつく。今季のリーグ戦のような展開であった。
 
オフトもヤンセンフェイエノールトでプレーした選手である。ヤンセンフェイエノールトで主力として活躍し、オランダ代表でも活躍するなどフェイエノールト自慢のOBである。それゆえ、自分が所属したチーム相手に、自分の教え子がここまで戦えるように成長した姿をみせることができたのも満足がいくところだろう。フェイエノールトが展開するスピード感あふれる攻撃は、ある意味、オフトやヤンセンのイメージする攻撃に一致するところがあるのだろう。現実として理想の攻撃を展開するチームを相手にできたことは今後の大きな財産になるのではないか。
 
今季リーグ戦でみせていた試合運びになってしまったが、欧州の強豪相手にここまでやれたことは選手にとって自信がついたのではないか。ゼリッチの負傷により、小林宏や堀之内が実戦で経験を積めるのも不幸中の幸いだ。リーグ再開まで一月を切ったが、若手選手が多いだけに、今後の成長を十分に見込めるゲームだった。