第3節:ジュビロ磐田

Jリーグ王者・ジュビロを破る。しかも、アウェーでとおまけもつく。この勝利に対する喜びは格別だ。感無量だ。全国のサッカーファンに、レッズは違う、という印象を与えられたのではないか。きしくも、BS?1ではなく、NHK総合だ。
 
両チームとも先発は日本人のみという構成。ジュビロは日本代表候補を並べる布陣に対し、レッズは若手が核となる。前回、レッズに対する期待を述べたが、その期待がイメージよくこの試合でもみられた。しかも、レッズは主力の外国人選手3人をケガで欠くというハンデもある。ファーストステージならば、外国人選手が一人でも欠けたら、チームのパフォーマンスが落ちるという結果があった。逆からみれば、ファーストステージでの外国人選手の不在がセカンドステージの快進撃につながっているともいえる。
 
まず、田中達也。達也はエメルソンやトゥットの次の位置にあった。どちらかが欠けると達也が結果を出す。達也が外国人選手の代役として結果を残すことで、もはや達也が外国人選手の代役ではなくなった。エメルソンやトゥットに匹敵するパフォーマンスを発揮できるようになった。
 
永井雄一郎にしてもいえるだろう。ファーストステージはベンチ入りはするものの、ほとんど出場なしか、ロスタイムに出場。持ち前のドリブルやテクニックを発揮する前にプレー時間が終わる。第3FWの地位も、昨年来の達也の活躍で陥落。だが、セカンドステージに入ると、出場時間が伸びてきた。トゥットが肉離れで戦線離脱すると、先発のFWが達也とエメとなる。出場時間とメンバーのめぐり合わせがシンクロしてくる。そして結果が出たのが前節の仙台戦。勝点3を奪えなかったのは痛いが、延長に入ることで、永井のプレー時間が増える。そして、勝利のVゴールを決める。仙台戦の良いイメージで入れたのが今日のジュビロ戦。本当に、くさらずにピッチに立つための努力をしてきた永井の精神力の強さに感激だ。
 
エメやトゥットが不在でも、達也と永井が結果を出す。もっとも望ましい形が見えてきた。時間的な流れをみると、オフトが考えている通りか分からないが、チーム全体のパフォーマンスが徐々に向上し、今、1回目の爆発期にきているのではないか。無論、レッズはリーグ屈指のFW陣の層の厚さをもっていることもある。エメとトゥットの長期離脱は痛いが、それを補うに十分な達也と永井のパフォーマンスを今日の試合でみせつけた。
 
さて、試合をふりかえってみよう。前半はお互い様子見のところは否めないが、まずまずの出来。お互いに、満足のいく展開ではなかったか。平川と対面する西や山田と対面する藤田が予想以上に上がってこなかった。贔屓目でみれば、平川と山田がしっかり仕事をしていたのだろう。守備も、坪井が高原、室井が中山、井原はリベロ、というようにいつものパターン。マンツーマンでしっかり守備をする、という今季の型がみえる。途中から、マンツーマン・ディフェンスをとりやめ、ゾーンでのマークの受け渡しに変えている。おそらく、高原と中山の位置が頻繁に変わることによるリスクを軽減させるための変化であると思われる。坪井が高原をポジショニングで徹底的に封じ込め、中山をスピードで封じ込める。その背後には井原と室井がバランスよく坪井の周りをケアしていることもある。素晴らしいほどの守備を見せた。
 
後半早々、福田のインターセプトから、達也が右サイドを突破し、センターにいた永井がノートラップボレーでゴール。また、直後には達也と永井でコーナーキックを得、山田のセンタリングを永井がヘッドで流し、達也がフリーでヘディングシュート。レッズは前半の守備の手応えを後半早々に攻撃の手応えに変化させ、ジュビロは前半のイメージを変えるための方策がなかった。王者の驕りではないが、45分あれば、そのうちレッズも疲れてくるし、勝つことはできる、といったイメージがあったのだろう。その虚を突いたのがレッズ。前半からの良いイメージと、高い集中力で後半に入ったことが開始早々の2ゴールにつながった。2点とったことで、ジュビロは慌てる。そして、井原から得たPKも山岸のファインセーブで入れられない。シュートを放ってもゴールポストやバーに当たる。PKをはずした時点で勝利の確信をほぼ得た。完全にレッズにサッカーの神様は微笑んでいる。レッズはあとは守るだけ。守るだけならそう難しいことではない。後半の守備は、井原の読みが冴えていた。ボールのコースを消し、決定機を作らせない。両サイドが下がり気味でほぼ5バック。福田も井原に負けじと読みの良さをみせる場面も多かった。
 
千島のJリーグデビューもめでたい。プレーは気合が空回りしていることが多く、持ち前のスピードを生かす展開にはならず。それでも良質のFWが続々と出てくるのは心強い。
 
これで、ますます波に乗れる。ひさびさの快進撃に酔いしれている。だが、まだ3試合を消化したばかり。勝って兜の緒を締めよ、だ。