日本対コスタリカ 観戦記

今回の試合は、目的がよくわからないまま終了した。それゆえ、なんら面白みもなかった。しいて、その目的をあげるとするならば、メンバー選考の理由を求めたかったに違いないだろう。
 
事実上、ワールドカップメンバーの大半は決定していると思われる。現状ではポーランド戦の先発メンバーがそれに該当しよう。この11人に加え、GKが2人、DFの森岡・波戸、ケガで参加しなかったMFの名波と服部で17人が決定事項ということだろう。のこり6人をこの試合で見極めることがトルシエの目的の一つであったであろう。そういう点からすれば、小笠原、中村、久保はほぼ落選といえるかもしれない。SUBで出られなかった選手もほぼ同様の状況かもしれない。
 
試合をふりかえれば、コスタリカのよさばかりが目立った。チームのバランスもよく、モチベーションも高く、フィジカルの強さも目立った。他方、日本といえば、三都主の突破(チームになじみ、リラックスしているようにみえた)、明神のボランチとしての機能、ぐらいであった。中盤のプレスはコスタリカにはあまり効いていないように見えたし、ディフェンスラインも何度か突破された。フラット3の弱点は前線から中盤にかけてのディフェンスにあると思われる。それが今回露呈した格好だ。失点のシーンがこれに該当する。
 
この試合では、私としては、日本が負けている状況を見たかった。ワールドカップの本番はホームで行なわれる。ホームで負けている状況で、トルシエがどのような采配をふるうのか。フォーメーションのイメージはできあがっているのか。今回、終盤に4バックを試したが、あまりにも時間がなかった。ただ、昨年のスペイン戦のような、時機に応じた選手間でのディフェンスラインのフォーメーションチェンジは時にみられた。今回の状況は、引分を狙うためのフォーメーションではなかったか。終盤に失点され、相手の流れの状況では、ディフェンスを安定させるためには4バックがふさわしいとトルシエは判断したのだろう。そういう意味では今回の選手交代によるフォーメーションチェンジは良い試みになったのかもしれない。では、0−1の状況ではどうするのか。これが今回私にとって期待された状況であった。0−1で負けている状況を打破するための攻撃のオプションがまだ見られていない。負けるのはイヤだが、負けている状況はアリだ。ホームで負けているけれども、トルシエの手腕で逆転勝ち、という試合が見たい。それが試せるのもあと2試合であろう。キリンカップスロバキアホンジュラス戦である。いかんせんスウェーデン戦では遅い。ただ、この2試合で海外組が参加することになれば、そうした状況も生まれにくい。それだけに、今回の試合が残念でならないのだ。