ジャパンカップ展望

私はこのレースが大好きだ。理由はいくつかある。コースと出走メンバー。
 
ジャパンカップの舞台となる府中の2400はまぎれがほとんどなく、馬の実力を測るにもってこい。スピード、スタミナ、パワーのすべてが要求される。2400は俗にクラシック・ディスタンスとよばれる。世界各国(アメリカを除く)のダービーは芝の2400である。凱旋門賞キングジョージブリーダーズカップ・ターフも、世界の主要で伝統のあるレースは2400が舞台となる。
 
ここまでなら、日本ダービーもそうだが、二つ目の理由から私のなかでは少し落ちるが、2番目に好きだ。
 
ジャパンカップの特徴はなんといっても世界各国から強豪が集結することであろう。凱旋門賞、各国のダービー、いわゆるキングジョージブリーダーズカップ(BC)などの優勝馬が日本にやってくるのだ。これだけでもワクワクしてしまう。世界で名高い馬たちを日本の強豪が迎え撃つ。ジャパンカップ創生期は外国馬の独壇場。まったく歯がたたなかった。しかし、90年代に入り、日本の馬も強くなった。なんと8年連続連対。うち、6回優勝。日本でおこなうかぎり、地の利が生きる。もはやジャパンカップは日本の普通のGⅠレースとなったといえるかもしれない。しかし、日本の馬でも相当の実力がなければ勝てない。なかでも出色なのがダービー馬や天皇賞(秋)馬である。府中という実力の真価が問われる舞台で優勝した馬ばかりである。
 
今年はどうであろうか。どうやらテイエムオペラオーがよさそうだ。有力馬をすこし検討してみよう。
 
昨年の覇者・テイエムオペラオーから。この馬についてはもはや説明する必要もあるまい。GⅠ7勝。今年のGⅠは天皇賞(春)のみ勝利となっているが、連を外したのは休み明けの産経大阪杯のみ。秋は調子落ちがささやかれているが、中間の状態は良いらしい。
 
今年悲願のGⅠ制覇を飾ったメイショウドトウ天皇賞(秋)は展開にまったく恵まれなかった。結局不本意ながら逃げる形になったが、優勝馬と3馬身半差の3着。いたしかたなし。ただ、休み明け2走目が[0・0・0・3]なのは気になる。
 
ダービー馬ジャングルポケット。前走は超スローペースで動くに動けなかった。だが、母父にヌレイエフがあり、3000は長かったようだ。今回はダービーと同じ舞台。鞍乗に名手ペリエを配し、準備万全。ただ、3歳馬でダービーに優勝した馬は3着止まり。三冠馬シンボリルドルフでもかなわなかった。来年は中山となるようで陣営もかなり狙っているといううわさ。
 
日本馬で相手になるのはこの3頭ぐらいであろうか。ほかで気になるのはトゥザビクトリーであろうか。エリザベス女王杯では悲願のGⅠ制覇。いつもとは違い、控える競馬となり、直線差しきった。中1週となるが、前走が休み明けだったことも考えれば問題ないだろう。ドバイワールドカップ2着の実績が光る。
 
外国馬は当初よりメンバーが小粒となった。昨年3着のファンタスティックライト(ハナ差で、もう、ほんとに泣いた)はBCで引退。ガリレオ(英国ダービー)もサキー(凱旋門賞)もこない。今回のメンバーで目玉となるのはゴーランだろう。英国2000ギニーの優勝馬。英国ダービーはガリレオの2着。凱旋門賞はサキーの4着も不良馬場に泣いたようだ。実績は申し分ないが、いかんせん英国クラシック馬はジャパンカップでほとんど実績をあげていない。ただ、厩舎がジャパンカップ2勝(シングスピールピルサドスキー)のスタウトであることを考えると、不気味である。
 
ティンボロアは昨年来日も11着と惨敗。今年はターフクラシック(GⅠ)で優勝し、BCターフファンタスティックライトの3着。好調のようだ。
 
インディジェナスは一昨年の2着馬。おっと、これもかなり悔しい思いをした。この年はスペシャルウィークが優勝したのだが、スペシャルウィークの相手にハイライズ(3着)をえらんでいたのだ。これもハナ差。苦い思い出だ。2年ぶりの出走となるが、いかんせん8歳。大きな上積みは考えにくく、成績も頭打ち。だが、日本の競馬を熟知しているアラン厩舎だけに不気味である。
 
パオリニも注目の1頭。父ランドは1995年の優勝馬。鞍乗は日本で短期騎乗の経験もあったマイケル・ロバーツ。どうやらロバーツ騎手がランドを参戦するよう提言したようだ。パオリニ自身父とほぼ同じ道を歩んでいる。前走のカナディアン国際は強豪ムタマムの2着と健闘。
 
日本馬と外国馬が同居するだけに、比較が困難である。個人的にここ2年1着・3着(ともにハナ差)とかなりくやしい思いをしているだけに、今年こそ!という気持ちでいっぱいだ。