春競馬を振り返る

先週末の宝塚記念が終了し、春競馬は一応終了した(東京と阪神開催が終わっていないため)。
 
G1戦線は連勝あるいは2勝以上した馬はテイエムオペラオーしかいないという戦国戦線であった。テイエムオペラオー春の天皇賞宝塚記念に優勝し、また、京都記念阪神大賞典に優勝し、4戦4勝の成績であった。春をふりかえるとすれば、テイエムオペラオーが文句なしの代表馬であろう。クラシックを皐月賞のみ優勝という馬によるこの快挙は歴史的に見てもまれである。この馬はいままさに充実の時を過ごしているし、秋にも十分期待ができよう。秋は天皇賞(秋)ジャパンカップ有馬記念と3戦する予定だそうだ。
 
一方、クラシック戦線は4レースとも違う馬が優勝したが、桜花賞チアズグレイス皐月賞エアシャカールともにそれぞれオークス、ダービーで2着となんとか面目を果たした。オークス、ダービーを優勝したシルクプリマドンナアグネスフライトは4歳デビューであり、その素質を短期間に開花させ、4歳の頂点を極めた。キャリアからすれば、この2頭は秋にも春以上に期待ができる。皐月賞エアシャカールは7月に開催されるキングジョージに出走する予定となっている。
 
エアシャカールキングジョージの後も凱旋門賞も視野に入れているということで、菊花賞に出走することはありそうにない。また、アグネスフライトも2400が限界に思え、菊花賞も距離的に、気性的にも不安がありそうだ。しかし、最近の菊花賞の傾向をみると、この馬にも十分チャンスがあるといえる。秋のトライアルにダービー馬を脅かす馬の出現に期待したい。
 
マイル路線はキングヘイローの活躍が目立った。しかし、安田記念は外国馬の後塵を拝し、ホームの地の利を生かせなかった。外国馬もドバイと香港と日本の競馬を知り尽くしているホースマンにやられた感が強い。特に、香港の充実ぶりは著しい。一昨年の安田記念のオリエンタルエクスプレス、昨年のジャパンカップのインディジェナスなど2着までだったが、今回3度目の正直で優勝を得た。昨年のマイル王・エアジハードの穴は大きかったように思える。スプリント路線も3月に高松宮記念が移行され、ローテーションに難があったようにおもえる。アグネスワールドはぶっつけとなったし、昨年のスプリンターズS馬・ブラックホークも精細に欠いた。今後、開催時期にも調整がいることだろう。
 
今年からG1戦線が実績だけでなく、重賞勝利も必要になり、出走の条件が厳しくなった。これが逆にレースの面白さをもたらしたのではなかろうか。しかし、一方で、優先出走権問題が発生した。優先出走権とは、当該レースを除外され、次回のレースに優先して出走できる権利である。京王杯SCはG1馬が出走できない可能性が大いにあり、競馬サークルを驚かせたが、結局は出走でき、G2にふさわしい、よりよくいえば、G1に匹敵するレースであった。優先出走権問題も今後の課題となるだろう。
 
また、今年は昨年以上に馬券の売上が落ちている。宝塚記念は前年よりも上昇したが、ほかでは相次いで前年度比減という結果になった。また、競馬場の入場者数はレースによってまちまちであるが、おおよそ減少傾向にあるといえるだろう。原因としては、レース内容には大きく昨年と違いがないことから、昨年と大きく番組変更が行われたことがあげられるだろう。とくに、高松宮記念が3月に、京都新聞杯が5月に繰上げとなり、格下げされたことがよい例だろう。また、ワイド馬券が馬券売上にはつながらなかったこともひとつの原因だろう。
 
馬券の売上に関しては不況だけが原因ではないと思われる。ファンが競馬場で楽しく馬券を購入するという視点に立たなければならない。ファンがなにを求めているのか、という命題に対し、JRAの臨機応変な対応が望まれる。