秋の展望:短距離路線

今年の短距離路線の充実度は目を見張るものがある。シーキングザパールタイキシャトルの海外G?制覇である。特にタイキシャトルジャック・ル・マロワ賞を制し、欧州短距離界の一流馬の仲間入りを果たし、今秋はブリーダーズカップへと出走する予定が組まれている。一方、シーキングザパールモーリス・ド・ギース賞を制し、ムーラン・ド・ロンシャン賞にG?連覇をかけたが残念ながら5着に敗れた。しかし、このレースではシーキングザパールは執拗なマークをうけたことが敗因の一つであり、逆の意味からすると、シーキングザパールの強さがこの結果をもたらしたと言えるだろう。
また、4歳馬も侮れない。NHKマイルCを無傷の5連勝で制したエルコンドルパサーの強さはすさまじかった。あの走りは古馬に十分に対抗できると言えるし、昨年のタイキシャトルのようにマイルチャンピオンシップを制する実力は十分にあるだろう。そして、忘れてはならないのがグラスワンダーである。この馬は無傷の4連勝で朝日杯3歳ステークスを制し、3歳牡馬チャンピオンに輝いた馬である。残念ながら骨折で春は出走機会がなかったが、この馬の能力はエルコンドルパサーに匹敵するだろう。2頭の鞍乗を任されている的場騎手がグラスワンダーを選んだのもこの馬の能力を買っていることを意味しているだろう。
マイル路線ではこの4歳2頭が主役を張ることは間違いないが、古馬も黙ってみているわけにはいかないだろう。注目したいのが京成杯AHを優勝したシンコウスプレンダである。この馬は4歳春の菖蒲Sでタイキシャトルの2着に破れ、その後蹄の不安で長期休養を余儀なくされたが、今夏に復帰し、2連勝で京成杯AHを制した。3歳時から重賞戦線をにぎわした能力は5歳の秋ににして開花した。一番充実するといわれる5歳秋にさしかかったシンコウスプレンダが秋のG?戦線を盛り上げるだけでなく、制する能力がある。他にも、高松宮記念でG?初制覇したシンコウフォレストも侮れない。
スプリンター路線も4歳馬が暴れる姿が見られるかもしれない。その筆頭がトキオパーフェクトである。NHKマイルCは距離と調整ミスが敗因とされている。NHKマイルC後の中日スポーツ賞4歳Sでは58キロで圧勝するレース振りを
みせ、1200mでは圧倒的な強さをみせつけた。しかし、古馬も充実している。高松宮記念を2着したワシントンカラーや短距離重賞を数多く制しているスギノハヤカゼ、日本レコードホルダーエイシンバーリンなど古馬の一線級はまだまだ健在である。
タイキシャトルシーキングザパールマイルチャンピオンシップに出走しないことをふまえれば、多くの馬にチャンスがあるといってもよいだろう。今後を占う意味でもいくつかの前哨戦に注目したい。