アテネオリンピック アジア最終予選(1)

ここでは、UAEラウンドのバーレーン戦を振り返ってみよう。
ただ、この稿はレバノン戦のあとに書いている。
UAEラウンドは中1日でゲームが行なわれる。選手たちも大変だが、見る方も大変だ。やつぎはやに行なわれるため、なかなかゲームの余韻にひたることができない。それゆえ、バーレーン戦の苦戦は短期決戦に悪影響をおよぼしかねなかった。
バーレーン戦の苦戦の原因は、バーレーンにあると思う。なるほど、バーレーンについて我々は情報をほとんどもっていないし、その実力のほどがわからない。FIFAランキング62位といっても、FIFAランキング自体それほど信憑性に重きをおけないところがある。ガルフカップで上位にきた、という結果は知っていても、そのゲーム内容を確認することは難しい。実際、日本のスカウティングよりも、バーレーンが実践してきた戦術はバーレーンのスカウティングの的確さを表している。
U-23世代のアジア上位に位置するイランや韓国と互角以上の結果を残し、ロシアA代表にも結果を残した。いわば、UAEラウンドに入るには願ってもない状態であった。そういった意味で、初戦のバーレーン戦はわりと楽観的にみられたはずだった。未知の相手の怖さよりも日本の状態の良さばかりが目立ったということだ。
1つのイスを争う重要な戦いの中で、しかも、相手はすべて中東、完全なるアウェー、という厳しい状況に置かれたU-23代表が初戦でプレッシャーを感じないことはありえない。相手の出鼻をくじくためにはゴールが必要だった。欲しいときにゴールが奪えなかったことが一つの原因にあるだろう。バーレーンの守備はよく組織され、機能し、終盤になってもその威力は低減しなかった。ちょうど先におこなわれた日本対オマーンのような展開だった。達也にかえて高松を投入し、トゥーリオをトップにあげてのパワープレーという選択を行なったのも現実的だった。まあ、松井と山瀬の交代はちょっと疑問が残る点だったが。山瀬はスペースを活かすタイプだけに、バーレーン戦のようなスペースのない状況では消える時間が多くなるのは無理はない。
バーレーンの組織網を破れず引き分けという結果も、いかにも現実的な結果にすぎなかった。バーレーンが想像以上の力を発揮した。ただそれだけのように思う。ただ、攻勢の時にゴールがあったと仮定すれば、違った展開になっただろう。入念な事前準備にもかかわらず、勝ち点3がとれなかったことは残念だったが、苦手とする中東勢を相手に、初戦負けなかったことは重視していいと思う。選手が次は切り替えて戦う、というコメントを残しているが、バーレーン戦の引き分けは許容範囲だったようにも聞こえる。次のレバノン戦は、UAEに2−4と逆転負けを喫し、主力を欠くという状況にある。それでも楽観的になれないのは、中東諸国が示してきた戦いの厳しさを垣間見てきたからだろうか。