日本対ポーランド 観戦記

1週間前におこなわれたウクライナ戦がほとんど意味をなさないような印象を受けさせる内容であった。海外組、とくに、小野と中田英の存在感は日本代表にとって決定的であった。
 
トルシエ監督と「和解」したとされる中田英のパフォーマンスは見事であった。左サイドを小野に任せ、自身は中央から右に位置し、市川をうまくリードした。1点目は二人のコンビネーションがもたらしたものだ。市川は中田英によって自分の攻撃的な特徴をみごとにひきだしていた。
 
2点目となる高原のゴールをもたらしたのも市川であった。中盤でボールを奪い、スピードにのったドリブルで右サイドを駆け上がり、清水エスパルスでみせるキレのあるセンタリングを放った。高原のゴールはボレーで決めれば最高であるが、体の大きい相手DFではああなるのも仕方ないところだ。体をうまく相手DFのふところに入れ、市川の絶妙なセンタリングを見事に、冷静にゴールしたことが重要であろう。このゴール・シーンをみるだけでも、高原の成長が見出せる。
 
前半で試合の行方がほぼ決まってしまったためか、後半は両チームともテストの意味合いが強くなったようだ。後半はホーム・ポーランドの反撃をみごとにふせいだ。前半のポーランドはサイド攻撃が目立たなかったが、後半はサイドに重点を置いた攻撃であった。それでも、後半は互角の内容であったといえよう。ランキング上位のポーランドを、しかもアウェーという苦境の中で、内容的には完勝、というパフォーマンスをみせた日本代表の成長は著しい。ただ、この内容をもたらしたのは、海外組であったことは間違いない事実であろう。逆にいえば、海外組の活躍なければ、日本代表はホームでも苦戦することが明らかとなった。
 
先制点の重要性が再認識されたのも、この試合のポイントであろう。開始早々のゴールがゲームの指導権を日本代表に与え、強国相手にも勝利できることが証明された。本大会でも同様のシチュエーションになれば最良であろうが、それとはまったく逆の状況におかれたとき、どうなるのか。終盤までリードを許しているとき、トルシエ監督がとるべき策を本大会前に確認しておかなければならない。本大会までに、ホームでおこなわれる試合は、4試合である。このいずれかの試合で逆境のシミュレーションができることを望みたいが、それは、心情的には、できれば避けたいところである。